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~お国柄別のスーツのトレンド アメリカ~
ブリティッシュスタイルから生まれたアメリカンスタイル
アメリカのメンズスーツは、アメリカンスタイルやアメリカントラッドと呼ばれています。イギリスで発祥したブリティッシュスタイルのスーツは、イギリス人のアメリカ入植をきっかけにアメリカへと渡りました。そのため、アメリカンスタイルはブリティッシュスタイルの影響を強く受けています。しかし、アメリカに渡ったイギリスのスーツは、ブリティッシュスタイルをベースにしながら、アメリカ独自のスタイルへと発展していきました。
アメリカは人種のるつぼと言われ、多種多様の人が住むところです。背丈も体型もまちまちな人がいる中で、一着一着手作業でオーダーメイドのスーツを作るのは、効率が悪くビジネスとしてもあまり合理的とは言えません。そこで、もともとファッション産業の歴史が浅かったアメリカでは、服といえば既製服が基本だったこともあり、どんな体型の人にでも合うような既製品のスーツを効率良く大量に作ることが盛んになっていきました。
ヨーロッパのデザインと、アメリカのデザインの融合で生まれたアメリカンスタイルのスーツは、アメリカ人にとっては単なるファッションと言い切ることは出来ません。アメリカンスタイルのスーツは、音楽やビジネスなどのさまざまなカルチャー要素を取り入れたライフスタイルのひとつであり、アメリカの人々はスーツによってそれまでになかった新しい生き方を与えられたと言っても過言ではないでしょう。
既製品のスーツと自己主張
ヨーロッパのスーツはオーダーメイドが基本になっていますが、アメリカのスーツは既製服が基本になっています。オーダーメイドのスーツは着る人の体型に合わせて作られるので、あまりパターンが多くありません。一方、既製服のパターンを基本とするアメリカンスタイルのスーツは、アメリカ人のライフスタイルを反映しながら個性的にアレンジされ、様々なデザインが生み出されました。
多種多様な人種が住むアメリカでは、集団の中では自己主張をすることを求められます。よって、スーツもほかに埋もれてしまわない、自己主張の強い、オリジナリティあるデザインであることが求められています。
個性的なデザインのスーツを作る場合、ヨーロッパで主流のオーダーメイドでは、採寸やテーラーとの打ち合わせなども合わせて一着が仕上がるまでに長い時間がかかってしまいます。しかし、アメリカンスタイルの既製品のスーツは、ショップに行けばさまざまなデザインを手にとってすぐに見ることが出来、試着も出来ますし、もちろん気に入ればその場で購入することも出来ます。このように、時間も手間もかからずすぐに簡単に自分の主張を持つことが出来るのが、他にはないアメリカンスタイルのスーツの大きな特徴と言えるのではないでしょうか。
デザインのポイントとコーディネート
アメリカンスタイルのスーツは、ウエストの絞りが甘めなのが特徴です。男性らしい胸の厚みを紳士的に魅せるブリティッシュスタイルや、体のラインを出してセクシーに魅せるイタリアンスタイルとは違って寸胴に見えてしまうシルエットですが、どんな体型でも着やすくて動きやすい機能的なスーツということにポイントを置いているアメリカでは、この形が多くの人に受け入れられているのです。
ショルダーラインも、イギリスのようなかっちりとしたデザインは好まれず、ナチュラルな肩のラインが出るデザインが好まれているようです。しかし、サイズが合わなくてブカブカとしているのとは違うので、アメリカンスタイルのスーツを着こなすときには要注意です。
スーツと合わせる小物は、程よくカジュアルな感じのするものが人気で、靴はややラウンドがかった茶系のもの、バッグはレザーと異素材を組み合わせた軽いものがよく合うと言われています。しかし、それがスタンダードな組み合わせかといえばそうでもなく、自転車通勤をする人の中にはスーツにスニーカーとリュックサックという組み合わせ方をする人も少なくありません。アメリカンスタイルのスーツは、着る人の生活スタイルごとにコーディネートもまちまちのようです。アメリカンスタイルのスーツを着こなすときには、堂々と着るのがいいでしょう。
個性的で自由な国
アメリカ人は、デザインや色が派手なスーツが好きだという傾向があります。ビジネスで着るスーツを例に挙げると、イギリス人ならダークグレーや黒に近い無難な色を選ぶことが多いのですが、アメリカ人はさまざまな色やデザインのスーツを着ます。これは、集団を大事にするイギリス人と個人を大事にするアメリカ人の意識の違いから来るものでしょう。
アメリカ人は面接のときに着るスーツも、自己主張の強いデザインや色ものを選ぶそうです。日本では、誰が着ても同じに見えてしまうような黒系のリクルートスーツを着るのが一般的であり、それが最良とされているわけですから、考え方もだいぶ違うと言えます。
これは余談ですが、スーツではなくポロシャツやジーパンといったカジュアルなスタイルで面接に臨むアメリカ人も少なくないとのことです。アメリカは、他者からは縛られない自由さがあるということを感じさせてくれる、独自のお国柄という気がします。